~群れに背を向ける!~
注目される業績を成す人は多かれ少なかれ群れから離れ、孤独な時間をろうそくの炎を見ながら格闘する時期を過ごしています。
しかし、そうしたときこそが至福のときなのです。
人は一人では生きていけない。
私が学校教育に乗り出す以前はそう考えていました。
しかし、独立心、独立の気概を失った、群れの羊のような、われわれ日本人、いや地球人を見る時、もはや一人で生きる人、生きられる人を支援、伴走することがわれわれ学校の使命ではないかと考えています。
一人で山を登る登山家、一人でヨットに乗り込み、世界の海原を走る人がいます。
生涯を断崖絶壁に仏像を彫り、過ごした名もなき人がいます。
われわれの学校にもいます。
小さいときから黙々とバレエに打ち込んでいる生徒がいます。
一緒に始めたお友達が一人抜けまた一人抜けしていくのに。
たった一人で異国の地へバレエ修行へと旅立っていきます。
中学時代、何かのきっかけで教室に入れなくなり、半日を保健室で過ごすようになり、おうちで絵ばかり描いている生徒がいます。
精密なミニチュアを構想して数週間かけてつくっている生徒がいます。
中学時代、教室に入れず、毎日図書室で好きなジャンルの本を好きなだけ読んでいた生徒がいます。
いずれも中学時代、群れに入ることに興味を持たずに孤独な時間を過ごしています。
自閉症作家として世界的に知られる東田直樹さんもその一人でした。
豊かな十代の時期を孤独に過ごせた人には大人になってからたっぷりのごほうびが待っています。
明蓬館高等学校 学校長・理事長 日野 公三